この記事でわかること

  • 見積金額は4つの要素で決めます
  • 必要時間単価を逆算します
  • 見落としやすい工数を足します
  • 最低価格と提示価格を分けます
  • 計算例で確認します
  • 見積書に条件を明記します

見積金額は4つの要素で決めます

Webデザインの見積もりで最も避けたいのは、「以前はこの金額だったから」「相手の予算がこの程度だから」という理由だけで金額を決めることです。案件ごとに作業範囲が異なるため、過去の価格をそのまま当てはめると、工数超過や修正対応によって実質時給が下がりやすくなります。

まずは、見積金額を次の4つへ分けて考えると整理しやすくなります。

必要時間単価
事業を継続するために、売上作業1時間あたりで確保したい金額です。
案件の総工数
制作だけでなく、打ち合わせ、連絡、修正、納品、請求まで含めます。
直接原価
外注費、有料素材、撮影費など、案件に直接発生する費用です。
利益・リスク分
再作業、空き期間、学習、設備更新などに備える余白です。
推奨価格 =(総工数 × 必要時間単価 + 直接原価)÷(1 − 希望利益率)消費税を外税で提示する場合は、この後に消費税を加算します。

この式は市場相場を断定するものではありません。ご自身の目標収入と実工数をもとに、少なくとも「なぜこの金額なのか」を説明できる状態をつくるための基準です。

必要時間単価を逆算します

希望時給を感覚で入力するのではなく、毎月必要な金額と、実際に売上をつくれる時間から逆算します。勤務時間のすべてを制作へ使えるわけではない点が重要です。

必要時間単価 =(希望報酬 + 固定費 + 必要な積立)÷ 月間の売上作業時間
計算例

毎月の希望報酬を32万円、ソフト代などの固定費を5万円、税金や設備更新の積立を3万円とします。必要月商は40万円です。月160時間働いていても、営業・連絡・経理・学習を除き、案件へ直接計上できる時間が80時間なら、必要時間単価は5,000円になります。

400,000円 ÷ 80時間 = 5,000円/時間

売上作業時間を多く見積もりすぎると、必要時間単価が不自然に低くなります。直近1〜3か月の実績を確認し、実際に請求可能な作業へ使えた時間を基準にしてください。

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見落としやすい工数を足します

見積もり時に制作時間だけを計算すると、案件終了時の実質時給が想定より低くなります。特に、細かい連絡や修正は1回あたりの時間が短いため、合計時間を見落としがちです。

工程見積もりに含める内容
事前確認問い合わせ対応、要件確認、資料確認、見積作成
設計情報整理、構成検討、ワイヤーフレーム、参考調査
制作デザイン、画像加工、素材選定、データ整理
コミュニケーション打ち合わせ、メール、チャット、進行管理
修正修正作業、確認、再書き出し、差し替え
納品・事務納品データ作成、請求、入金確認、保管

案件終了後に実工数を記録し、「想定時間」と「実際の時間」の差を確認すると、次回の見積精度が上がります。制作物ごとに標準時間を持ち、案件条件に応じて加減する運用がおすすめです。

最低価格と提示価格を分けます

最低価格は、これを下回ると目標収入や必要な原価を回収できない境界です。一方、実際の提示価格は、案件の難易度、専門性、納期、提供範囲、成果への影響を踏まえて決めます。

2つの価格を持つ理由

  • 最低受注価格:受注可否を判断するための内部基準です。
  • 提示価格:提供価値と条件を反映して、顧客へ提示する金額です。

予算交渉を受けた場合は、単純に値下げするのではなく、ページ数、提案数、修正回数、打ち合わせ回数、納期などの作業範囲を調整します。価格と提供範囲を連動させると、品質を保ちながら交渉しやすくなります。

計算例で確認します

LPデザイン案件を例に、見積金額を組み立てます。以下は市場平均ではなく、計算方法を確認するための仮定です。

制作・修正時間40時間
打ち合わせ・連絡・事務8時間
必要時間単価5,000円
有料素材・外注費10,000円
希望利益率20%
(48時間 × 5,000円 + 10,000円)÷ 0.8 = 312,500円端数を整え、税抜313,000円や315,000円などで提示する方法が考えられます。

現在10万円で受注している案件に48時間かかっている場合、外注費がなくても実質売上は約2,083円/時間です。価格だけでなく、工程削減や修正条件の明文化も同時に検討してください。

見積書に条件を明記します

金額の計算が正しくても、作業範囲が曖昧なままでは工数超過を防げません。少なくとも、次の条件は見積書または契約書へ記載してください。

納品物と作業範囲
無料修正回数と、1回の修正に含まれる範囲
大幅な方向変更を追加制作として扱う条件
素材提出期限と、遅延した場合の納期変更
着手金、残金、キャンセル料金

見積もりは、価格を伝えるだけの書類ではありません。「どこまでが基本料金で、何が追加料金になるか」を双方で確認するための設計書として扱うと、受注後の認識違いを減らせます。

本記事は、見積もりと価格設計を検討するための一般的な情報です。個別案件の市場価格、利益、成約または法的有効性を保証するものではございません。契約・税務上の重要事項は、必要に応じて専門家へご確認ください。